コントラバスの上達には教則本は欠かせません。
現在コントラバスに関するさまざまな教則本が出版されています。
その中で、コントラバスを始めて間もない初心者の人に、ぜひ手にとってほしい教則本があります。
私が最もおすすめする、その教則本は、「HIYAMAノート」です。
「HIYAMAノート」は、オーケストラや吹奏楽でつかうポジションをしっかり身につけたい人に最適な教則本です。
この記事では、おすすめの教則本「HIYAMAノート」についてご紹介します。
「シマンドル」という教則本
「HIYAMAノート」について書く前に、コントラバスには「シマンドル」という教則本があります。
おそらく「シマンドル」とう教則本が世界で最も有名で、普及した教則本です。
現在プロで活躍されているコントラバス奏者の方々も、おそらくこの教則本を使って勉強された方がほとんどではないでしょうか。
私もコントラバスを始めた頃、この教則本を買って練習をしていました。
「シマンドル」という教則本は、全2巻が出版されています。
第1巻は、コントラバスの一番初歩の部分から、オーケストラや吹奏楽でよく使われる第7ポジションまでと様々な奏法について書かれています。
第2巻は、親指ポジションと呼ばれる第7ポジション以降のポジション、また、ハーモニクスなどについて書かれた、コントラバスソロを弾くための上級者向けの教則本になっています。
そんな広く普及した教則本があるなら、「HIYAMAノート」を使う必要はないのでは?と思う方もいらっしゃるかもしれません。
「シマンドル」と「HIYAMAノート」には、とても深いつながりがあります。
「シマンドル」と「HIYAMAノート」の関係とは
「HIYAMAノート」の副題に、「シマンドル習得のために」と書かれています。
それには理由があります。
「シマンドル」の第1巻は、4部構成になっています。
その第1部はコントラバスを弾く上で、一番基礎に当たる部分です。
第1部の内容は、オーケストラや吹奏楽でよく使うポジションのハーフポジション~第7ポジションまでを習得できるようになっています。
実は、その第1部に掲載されている楽譜が、「HIYAMAノート」にそのまま掲載されています。
もともと「HIYAMAノート」は、檜山門下生が「シマンドル」を習得するために、副教材として書かれた楽譜でした。
私がレッスンを受け始めたときは「HIYAMAノート」はまだ手書きの楽譜のコピーでした。
手書きの楽譜を弾いて、その後「シマンドル」の楽譜を弾いて、また手書きに戻るみたいな感じで、手書きの楽譜のコピーと「シマンドル」の両方を使ってレッスンを受けていました。
その手書きの楽譜と、手書きの楽譜に対応する「シマンドル」の楽譜を合わせて、教則本としてまとめたものが「HIYAMAノート」です。
「HIYAMAノート」に追加された内容とは
「シマンドル」の第1部は44ページ、一方、「HIYAMAノート」は183ページあります。
「HIYAMAノート」のほうが4倍ほどページ数が多くなっています。
「HIYAMAノート」には、「シマンドル」の各ポジションを効率的に習得するための、より詳しい練習が追加されています。
それでは、各ポジションの練習の流れについて見ていきます。
「HIYAMAノート」の各ポジションは、
- 各弦での練習
- 4本の弦上での練習
- シフティング
- 音階
- 音程
- 分散和音
- エチュード
の流れで練習していきます。
「シマンドル」の各ポジションは
- 各弦での練習
- 4本の弦上での練習
- 音階
- エチュード
の流れで練習していきます。
比べてみると、大まかな流れは同じです。
大きな違いは、「HIYAMAノート」には、次の3つの練習が追加されています。
「HIYAMAノート」のココがすごい!
「HIYAMAノート」はただ項目が多いわけではありません。
たとえば、「シマンドル」の音階はエチュードに使う音階のみが掲載されています。
「HIYAMAノート」には、そのポジションを使う音階がすべて載っています。
また、シフティングでは、習得しようとするポジションと、それ以前のポジションの往復について様々なバリエーションのシフティング練習が載っています。
そう。「シマンドル」に載っている楽譜を練習するだけでは足りないんです。
音階1つ弾いただけで、他の音階も弾けるようになるわけではありません。
数種類のシフティングのパターンをすればシフティングができるようになるわけでもありません。
「シマンドル」は足りない部分を、自分で楽譜を考えて練習しなければいけないんです。
今まで「シマンドル」を使って一流になった人たちは、苦労して自分で足りない部分を補いながら練習していました。
しかし、すべての人が足りない部分を自分で見つけて補えるわけではありません。
補い忘れたところはそのまま穴となって、穴だらけの状態で次に進んでしまうわけです。
それでは手戻りも多く、上達のスピードが遅くなってしまいます。
でも安心してください。
「HIYAMAノート」に、その足りない部分が網羅的に書かれています。
なので、さらい残しがありません。
さらに、どういう練習すればいいのか、効果的、論理的にまとめられています。
そのため、順に練習していけば、エチュードを弾くための要素にどういうものがあるのかが自然に分かるようになっています。
まとめ
この記事では、おすすめの教則本「HIYAMAノート」についてご紹介しました。
「HIYAMAノート」をしっかりやっていけば、オーケストラや吹奏楽で出てくるポジションの音程は、確実に良くなります。
網羅的に練習が書かれているので、さらい残していて、あとでもう一回さらいなおすといった手戻りがありません。
ボリュームがあるので、さらっていくのは大変かもしれませんが、必ず効果は期待できます。
ポジションの基礎を押さえるために必須の教則本だと思います。
ぜひ、教則本として「HIYAMAノート」を使ってみてください。
そして、「HIYAMAノート」がすべて終わったら、「シマンドル」の第2部や第2巻へと進んでいってください。