コントラバスでオーケストラの曲を弾いていると、スピッカートで弾く箇所が出てきます。
スピッカートって聞いたことありますか?
跳ね弓とかジャンピングボウとか言われることもあります。
スピッカートとは
ざっくりといえば、弦の上で弓を跳ねながら弾くテクニックです。
基本的に、スピッカートをするときの弓の軌跡は、放物線を描きます。
放物線の頂点で毛が弦に触れます。
毛が触れている間、音が鳴ります。
音の硬さは、放物線の角度をゆるやかなU字にすると柔らかく、急なV字にすると硬くなります。
テンポが速くなると、毛が弦から離れている時間が短くなっていきます。
さらに速くなると、毛は弦からほとんど離れず、弓の竿だけがバウンドするようになります。
一口にスピッカートといっても、放物線の角度や、テンポの違いでいろいろあります。
ここでは、一番基本的な動きやコツのつかみ方について書いていきます。
スピッカートの感覚をつかむために、3つの手順で説明します。
1.弓が跳ねる感覚をつかむ
縦の動きのコツをつかみます。
スピッカート中、弓は常に弦の上をバウンドしています。
常に同じ高さのバウンドになるように弓をコントロールします。
これはボールをドリブルする感覚に似ています。
ボールを床に落としただけでは、だんだんバウンドの高さは低くなり、やがて床の上で止まります。
ドリブルするときは、跳ね上がってきたボールを手で受け止めて、次も同じ高さに跳ね上がってくるように手で重さを加えます。
まず、弓を毎回同じリズムで同じ高さになるように、弦の上でバウンドさせます。
バウンドさせるだけで、横の動きはしません。
このとき、弓先の軌跡は弦に対して垂直な直線になります。
この軌跡が、毎回同じになるように注意します。
中弓、先弓、元弓の順に3箇所で行ってみてください。
2.毛が弦についた瞬間に弦をとらる感覚をつかむ
横の動きのコツをつかみます。
音を鳴らすには、横の動きも必要です。
スピッカート中に毛が弦に触れている時間は短いので、毛が弦に触れた瞬間に弦をとらえて弾きます。
2-1.弦をとらえる
弓を構えて空中から弦に落として、弦に触れた瞬間に毛を弦に引っ掛けます。
このとき、音は出しません。
弾かずに弦に毛がかかったことを確認します。
これをダウン方向から落とした場合と、アップ方向から落とした場合で確認します。
アップのほうが感覚をつかむのが難しいです。
落とした瞬間、弓がバウンドしてボヨヨヨヨ~ンとならないように感覚をつかんでください。
2-2.弦を弾く
弦をとらえることができたら、次は2-1.と同様にして、毛が弦にかかったらブンッと弾いてください。
ダウン方向と、アップ方向の2つで確認します。
2-1.と同様にアップのほうが難しいです。
弓がバウンドして、ボヨヨヨヨ~ンとならないように感覚をつかんでください。
3.縦と横の動きを合わせる
縦の動きと横の動きの感覚がつかめたら、これをあわせて行きます。
まず、1.で説明した弓のバウンドを行います。
バウンドが安定したら、次に2-1.を加えます。
弦がつかめていれば、プンップンップンップンッという感じで音が鳴ると思います。
これも安定したら、さらに2-2.を加えます。
弦がつかめて弾ければ、ブンッブンッブンッブンッという感じで音が鳴ると思います。
まとめ
スピッカートが出来るようになるためには、2つのポイントがあります。
- 弓が跳ねる感覚をつかむ(縦の動き)
- 毛が弦についた瞬間に弦をとらる感覚をつかむ(横の動き)
- 縦と横の動きをあわせる
最初は、やりやすいところからはじめてください。
放物線の角度や、テンポを変えてみて、音の変化を感じてみてください。
スピッカートの感覚は、しかめっ面しながらやっててもなかなかつかめません。
気楽に遊びの中でやるのが一番つかみやすいと思います。