コントラバスを弾くときに、「脱力する」ということはとても大切です。
脱力のコツについては、以前、強制的に脱力の感覚をつかむためのコツについて記事を書きました。
コントラバスのレッスンで、「力が入ってるから脱力して!」と言われることがあります。 この記事では、誰でも簡単にできる脱力の間隔をつかむ方法をご紹介します。
この記事では、どういう状態が「力んでいる」のか、また、どういう状態が「脱力している」のか、そして、脱力のために意識すべきポイントについてご紹介します。
筋肉のはなし
人には、関節を曲げるために使う筋肉(屈筋)と、関節を伸ばすために使う筋肉(伸筋)があります。
たとえば、肘を曲げたり伸ばしたりするときに使う腕の筋肉を例にします。
- 肘を曲げて力を入れて力こぶが盛り上がる筋肉(上腕二頭筋)。
- この筋肉が、関節を曲げるために使われる筋肉です。
- 力こぶができる筋肉の反対側についている筋肉(上腕三頭筋)。
- この筋肉が、関節を伸ばすために使われる筋肉です。
筋肉の名前を覚えるわけではないので、ここまでにしておきますが、手首や指を曲げたり伸ばしたりするときにも、それぞれの関節に対応する屈筋と伸筋が使われます。
力むとは
力むとはどういう状態のことでしょうか。
力むと、関節が柔軟に動かせなくなります。
関節が柔軟に動かない状態は、上に書いた屈筋と伸筋の両方共に力が入った状態です。
曲げる筋肉と、伸ばす筋肉の両方に力がはいるわけですから、関節は動きにくくなります。
関節が柔軟でない状態で、演奏するとどうなるでしょうか。
決していい演奏はできません。
脱力とは
一方、脱力とはどういう状態のことでしょうか。
脱力といってもすべての筋肉の力を抜くわけではありません。
脱力とは、必要な筋肉に、必要な量の力が入った状態です。
必要以上の力を入れてしまうと、力んでいる事になってしまいます。
必要な量をしっかり見極めましょう。
脱力のために意識すべきポイント
脱力できているかどうかを確認するために、意識すべきポイントが3つあります。
- 今やっている動作が、屈筋を使うのか、伸筋を使うのかを意識する
- 屈筋、伸筋の両方に力が入っていないことを意識する
- 動作の方向が変わるときは、丁寧に受け渡しができているかを意識する
たとえば、弓でダウンを弾いているときは上腕の伸筋を使っています。
上腕の屈筋には力が入っていません。
逆に、アップを弾いているときは上腕の屈筋を使っています。
上腕の伸筋には力が入っていません。
難しいのは、弓の切り返しのときです。
使う筋肉を変えないと、弓の方向が変わりません。
この使う筋肉の切替がなめらかにできると、切り返しの音もなめらかになります。
なめらかでなければ、アクセントがつきます。
私の持っているダウンからアップへの切替のイメージです。
ダウンの最後で、上腕の伸筋から屈筋へ、「はい、どうぞ」と丁寧に力を移行します。
そして、上腕の屈筋は、「はい、ありがとう」と丁寧に力を受け取ります。
丁寧に意識して上げるだけで、切り返しの音が変わるので、試してみてください。
まとめ
脱力できているか確認する3つのポイントは、
- 今やっている動作が、屈筋を使うのか、伸筋を使うのかを意識する
- 屈筋、伸筋の両方に力が入っていないことを意識する
- 動作の方向が変わるときは、丁寧に受け渡しができているかを意識する
この記事では、例として右手の使い方について書きましたが、左手についても同様です。
上の3つのポイントを意識して、脱力できるように練習してみてください。
あわせて、以下の記事も参考にしていただき、脱力の感覚をつかめると、効果的です。
コントラバスのレッスンで、「力が入ってるから脱力して!」と言われることがあります。 この記事では、誰でも簡単にできる脱力の間隔をつかむ方法をご紹介します。