今弾いている楽器は買ってから十数年経ちます。
その間、大きな問題もなく弾いてきました。
最近、音が少しかたいなと思うようになり、弦高も少し高かったので、思い切って調整に出すことにしました。
工房に行って色々お話をしながら、弦高の調整と魂柱の位置を調整していただきました。
その際に、魂柱の位置によって、音にどんな影響が出るのかを伺いました。
この記事では、魂柱の位置によって、コントラバスの音にどう影響するかについてご紹介します。
魂柱とは
本題に移る前にまず、魂柱って知っていますか?
コントラバスのG線側のf字孔から、楽器の中をのぞいてみてください。
楽器の中に、魂柱という棒が立っています。
魂柱の位置は、G線側の駒から少し下に立てられています。
楽器の音は、弦の振動が駒から表板に伝わります。
さらに、表板から魂柱を通して裏板が振動し、楽器全体に音が響きます。
魂柱は、表板にも裏板にも接着されていません。
弦の張力で表板と裏板の間に挟み込まれているだけです。
そのため、弦を不用意に全部緩めたりすると、「カランカランッ」と楽器の中で倒れることがあるので、弦の交換のときは注意が必要です。
魂柱の位置による音への影響
魂柱の位置によって音に影響があります。
細かい影響まで含めると難しい話になるそうです。
奏者が知っておいてもいい知識としては、次のような影響があります。
- 上下方向の位置は音色や反応に影響します。
- 左右方向の位置は各弦の音量のバランスに影響します。
上下方向の音色や反応への影響
魂柱を上(駒の方向)に動かすほど、音色が明るく、かたい音になり、楽器の反応が良くなります。
逆に下(エンドピンの方向)に動かすほど、音色は暗く、やわらかい音になり、楽器の反応が鈍くなります。
今回の調整では、少しやわらかい音にしたかったので、少しだけエンドピン方向に移動してもらいました。
左右方向の音のバランスへの影響
魂柱を右(G線の方向)に動かすほど、音のバランスがG線側が大きくなります。
その代わり、E線側の音が小さくなります。
逆に、左(E線の方向)に動かすほど、E線側が大きくなります。
その代わり、G線側の音が小さくなります。
今回の調整では、A線とE線の弦高を少し下げて下2弦が弱くなったので、左右方向は少しE線方向に移動してもらいました。
まとめ
この記事では、魂柱の位置によって、コントラバスの音にどう影響するかについてご紹介しました。
魂柱の位置を動かすと、音に次のような影響が出ます。
- 上(駒の方向)に動かすほど、音色が明るく、かたい音になり、反応が良くなる
- 下(エンドピンの方向)に動かすほど、音色が暗く、やわらかい音になり、反応が鈍くなる
- 右(G線の方向)に動かすほど、音のバランスがG線側の音量が大きくなり、E線側の音量が小さくなる
- 左(E線の方向)に動かすほど、音のバランスがE線側の音量が大きくなり、G線側の音量が小さくなる
上記以外にも細かい音への影響があるそうですが、だいたいの傾向としてこうなるということです。
ただ、くれぐれも自分では魂柱を動かさないようにしてください。
魂柱の面と、表板・裏板の面がずれたり、垂直でなくなったりすると、楽器の鳴りが悪くなることもあります。
ちゃんとした調整をするには魂柱の位置のほかにも気にしないと行けないところがたくさんあるので、調整は専門の方におまかせしましょう。
しかし、知っていれば、もっとこうしてほしいということも言うことができるので、知識として頭に入れておくことはいいと思うので、頭の片隅にでも入れておいてください!