コントラバスを弾いていて、こんな現象で困っていませんか?
- A線の開放を弾くと、他の弦に比べて振動が不安定で鳴りにくい
- B♭の音を弾くと、弦がうまく振動せず、「ヴォンヴォンヴォン」という変な音になる
- G線の開放を弾くと、弦の振動が不安定で音が途中で裏返ってしまう
これらの現象の多くには、ウルフトーンが関係しています。
ウルフトーンという言葉を聞いたことがありますか?
ウルフトーンとは
ウルフトーンとは、簡単に言うと「音のうなり」です。
特定の音を弾いているとき、弦の振幅が不安定になり、「ヴォンヴォンヴォン」というような音になります。
この音が狼の鳴き声のように聞こえることからウルフトーンと呼ばれます。
特に弓でアップで弾いているときになりやすく、ウルフトーンがよく使う音上にあるととても弾きづらくなります。
ピチカートのときはウルフトーンは鳴りません。
音がうなる原因
ある音のとき、表板が振動した響きと裏板が振動した響きがぶつかって打ち消すために起こります。
すべての音に出るわけではなく、特定の音にだけ起こります。
コントラバスだと、ファの音からシの音の間に出ることが多いようです。
ヴァイオリンのような小さい楽器は起きにくく、コントラバスはその大きさから、ウルフトーンが出やすい楽器です。
ウルフトーンはなくせるか?
ウルフトーンが出るからといってがっかりする必要はありません。
よく鳴る楽器ほど、表板と裏板がよく振動して響くので、ウルフトーンが起きやすいと言われています。
しかし、ウルフトーンは移動することはできますが、なくすことはできません。
うまく付き合っていく必要があります。
ウルフトーンを軽減する秘密兵器
どうしても気になる人のために、ウルフトーンを軽減する「ウルフキラー」というパーツが有ります。
駒とテールピースの間につける金具のようなものです。
ウフルキラーをつけると、付ける弦、付ける位置によって、ウルフトーンの場所が別の音に移動します。
演奏に影響の少ない音に移動する場所を探して取り付けます。
以前は、ゴムチューブを弦につけ、ネジで締めて使うタイプのものしかありませんでした。
私もつけたことがありますが、このタイプのものは、弦の振動がミュートされるようでです。
ウルフトーンは軽減されますが、同時に他の音の響きも減少しているように感じて、結局外してしまいました。
しかし最近は、S字の溝に弦を挟み込み使うタイプのものもあります。
このタイプは、金属で挟み込んでいるので、音がミュートされることがありません。
そのため、音の響きへの影響も最小限に押さえられます。
もっとすごいウルフキーラー(2016年9月29日追記)
あるコントラバス弾きの方から、いいウルフキラーがあるよというお話をいただき、早速試してみました。
ウルフ・エリミネーター(Wolf Eliminator)という名前です。
エリミネーターという言葉は、日本語に訳すと「除く,除去する」という意味です。
重さが20gと30gの2種類があります。
私は20gのウルフ・エリミネーターを購入しました。
ボタンのような丸い形をしています。
上の写真のように、2つのパーツでできています。
この2つのパーツにはネジの溝が切ってあり、左側のパーツの溝に弦をあわせて、右側のパーツをネジに合わせて回していきます。
すると、ピンポイントで弦にあたって挟み込むような仕掛けになっています。
手に入れてから1週間ほど実際に自分の楽器につけてみた感想です。
結論から言うと、このウルフ・エリミネーターかなりおすすめです。
メリット その1
これまで使っていたものは、弦との接点が3点になります。
しかし、このウルフ・エリミネーターは、弦との接点が1点となるので、効率よく音の共振を押さえることができるようです。
ウルフキラーを取り付けることは音の響きを止めることになるので、付けていないときに比べると、どうしても音が響かなくなります。
ウルフ・エリミネーターはその影響を最小限にでき、他の音が暗くなったりしません。
メリット その2
これまで使っていたものは、S字の溝で挟み込んでいたため、取り外しや取り付け位置を移動させると、チューニングがずれたり、弦の巻線に傷がつくことがありました。
しかし、このウルフ・エリミネーターはネジで止める方式なので、上側のパーツを少し回してネジを緩めると位置を簡単に移動できます。
取り付け位置によって音への影響が変わるので、移動が簡単にできるのはとても便利に感じました。
ウルフキラーの取り付け位置(2016年9月29日追記)
ウルフキラーは、駒とテールピースの間に取り付けます。
ただ、どこにつけても効果的なわけではありません。
取り付け位置が間違っていると、ウルフトーンをまったく軽減できないこともあります。
一番効果を発揮すると言われている位置があります。
それは、駒とウルフキラーの間を弓で弾いて、取り付け前にウルフトーンが出ていた音と同じ音程になる位置に取り付けます。
私の楽器の場合、G#にウルフトーンがでるので、駒とウルフキラーの間の音の音程を3オクターブ?上のG#になるように位置を調整しています。
まとめ
ウルフトーンが出るからといって落ち込む必要はありません。
ウルフトーンが出る楽器は、よく響き、よく鳴る楽器です。
うまく付き合っていくために、おすすめのウルフキラーです。
以下は、ウルフ・エリミネーターの前に使っていたウルフキラーです。
よく使う音にウルフトーンが出る場合は、ウルフキラーでウルフトーンの出る音を移動させて、うまく付き合っていきましょう!